章之進
「彦右衛門様、明禅寺合戦大勝利の祝いにと、岡山城の金光宗高殿御家来、後藤と申す者がやってきておりますが。」
彦右衛門
「うん、こちらへお通しして。」
章之進
「ほーい。」
後藤
「今度の戦勝、恐悦至極にござりまする。我が主、金光宗高もいたく喜びこれを献上するようにと、仰せつかりまかり越したるしだいにござりまする。」
彦右衛門
「うむ、金光殿も大儀であった。献上品有り難くお受け致そう。」
章之進
「では、下げておきますねぃ!何だろなぁ、ウフフ。」
彦右衛門
「コラ!お前への献上品ちゃうよ!全く……。」
後藤
「ん、あれに見えるは何でござりましょうや?」
彦右衛門
「ん、おお、これなるはカラクリ電脳遊戯機でな、ほれこうして遊ぶのじゃ。」
ピコピコピコ
後藤
「おお、さてもさても面白きものにござりますな。」
彦右衛門
「であろう。よろしければ、しばし我が相手にでもなってもらえるかな。」
後藤
「もちろん、喜んで!」
こうして二人はすっかり意気投合して、夜更かしをして遊びたおし、後藤は明け方帰っていった。
彦右衛門
「じゃあねぃ、ごっちゃん!」
後藤
「うん、彦やんも元気でね!また遊びに来るわ!」
数日後、
俊丸
「彦右衛門様、大変デブ!岡山城の金光宗高が、先般罷り越したる後藤殿を罪に問い、死罪を申し付けましたデブ!」
彦右衛門
「な、なんと!ぬう、この前の戦でも三村勢の誘導はしたが、俊丸の報告では日和見を決め込む腹だったそうではないか。拙者と仲良うなった後藤殿を誅殺致せしは、この彦右衛門への当てつけに相違なし!」
義左衛門
「確かに。しかし、これは岡山城を奪い取る絶好の口実を与えてくれたようなものにござる。まずは使者をお出しなされませ。そして、ここ沼城に金光めを呼び寄せるのです。」
彦右衛門
「よし、使者を出して金光宗高を呼び寄せよ!」
次の日、
金光宗高
「急な用件でお呼びとお聞き致し、罷り越しましてござりまする。」
彦右衛門
「おう、そのことよ。まずは後藤殿に死罪申し付けたる理由を釈明せい。」
金光宗高
「は、彼の者が不忠を働いたからにござりまするが……。」
彦右衛門
「その不忠というのは、儂と仲良く遊んだことをいうのかのう?」
金光宗高
顔が青ざめつつ
「いえ、滅相も無い。」
彦右衛門
「それより、御主、明禅寺合戦の折には、日和見を決め込む腹だったようじゃのう。我が手の者から報告は受けておるわ。」
金光宗高
汗をたらしながら
「だ、誰がそのような埒もない噂を!」
彦右衛門
「御主とは同盟を結んではおるが、表裏比興の振る舞いを致せし上は、今後信用して付き合うわけには参らぬ。よって、ここで自撮せよ。」
金光宗高
「ええ〜〜〜!勘弁して下され!」
彦右衛門
「うんにゃ、勘弁ならん。ほれ、これが電脳写真機じゃ。さっさと自撮致せ。おっと、それから御主の家族はきちんと面倒を見よう程に、岡山城を明け渡すよう一筆書いてから自撮致せ!」
金光宗高
(ぬう、それが目的だったか!さすが城撮り名人よのう。こうなったら、なんとしても岡山城に帰らねば!)
「その前に、一旦岡山城に帰城致し、礼装相整えてから自撮致しとうござりまする。何とぞ、帰城をお許し下さりませ。」
義左衛門
「では、先に城明け渡しの書状をしたためられよ。後日、気が変わられては面倒ゆえな。」
金光宗高
(ほっ、これで帰れそうじゃぞ。書状での約束なぞどうにでもなるわ!)
スラスラスラ
「これでよろしゅうござるかな?」
義左衛門
「ふん、よろしかろう。では、すぐに自撮致せ!」
金光宗高
「ええー!話がちゃいますやん!」
義左衛門
「往生際が悪いぞ!武士なら謀(はかりごと)がばれた以上、潔う致せ!それに、お前の考えなぞ顔に書いてあって丸わかりじゃ!」
金光宗高
「う、嘘?」
義左衛門
「鏡を見てみぃ!ほれ。」
俊丸
マジックペンでキュキュッと金光宗高の顔に、
『僕、おうちの岡山城に帰ったら早速兵を集めて、立てこもってやるもんね!』
金光宗高
鏡を見つつ
「うわ、本当だ!拙者の考え、丸分かり!……って、なんでやねん!」
彦右衛門
「おい、出て来て構えよ!」
幸之助
スチャッ
写真機を構えつつ
「はっ!金光殿、既に多くの写激手が御主を狙っているんダニ!もう観念するダニよ!」
彦右衛門
「あ、そうそう、セルフになってるから、押すだけでええよ。」
金光宗高
「ぬうう、無念、謀られたかぁ!ノコノコ出て来てしもうて、我ながら大アホウであったわ!しからば、我が自撮見届けよ!」
ジー、パシャ!
金光宗高
「た、魂抜かれてもうたぁ!ほげぇぇ。ほげぇぇ。」
義左衛門
「よし、これでこの者は使い物になりますまい。宇喜田直家はさすがにこれくらいでは参りませんでしたが、戦国の普通の人間なら一発ですな!私めがすぐに岡山城に行って接収してきましょう!」
幸之助
「待つダニ!軍師殿の手勢だけでは、いざ明け渡しを拒否されたおりに心もとないダニ。拙者も立ち会ってくるダニよ!」
彦右衛門
「よし、では早速行って受け取って参れ!無事明け渡せば所領は安堵する、との添え書きを持っていってくれ。」
数刻後
ドスドスドシーンッ、メリメリメリィ!
俊丸
「やったデブ。城の明け渡しを終えたデブ!彦右衛門様の所領安堵の一言が効いたデブ。」
彦右衛門
「お前、リバウンドが激しくなってないか?ああッ!儂の本丸屋敷が損壊しとるじゃないか!」
俊丸
「う、それは鋭い指摘デブ。重量増えてスピードが変わらないから、運動エネルギーがどんどん増えてるデブ。でも、彦右衛門様、もう沼の城は用済みデブ。岡山の城が空いたデブからね!さっさと移住するデブよ!」
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