彦右衛門
「これより我が軍は上洛致す!今回の上洛は足利義昭公を奉じ将軍家を再興すること、及び度重なる戦で困窮極まっておられる天朝様へ御挨拶を申し上げることである!」
彦右衛門勢
「おおーー!」
章之進
「遂に上洛か!京とはどんな所か、楽しみじゃのう!」
義左衛門
「なお、京童どもが怯える事のないよう、軍律は厳しく守るように!洛内外を通じて盗撮は一切禁止じゃ。京の民草を撮害致す事なきよう、注意致すように!」
章之進
「ええ〜〜〜〜!?せっかく盗撮しようと思ってたのにぃ!」
彦右衛門
「コラ!ええ〜〜〜〜じゃねぇよ!お前は一般兵卒の模範にならんといかんというのに、何が盗撮しようと思ってたのにぃ、じゃ!卑劣な盗撮一切禁止!やったら厳罰に処す!」
章之進
「へへ〜〜!」
こうして彦右衛門勢は足利義昭を推戴して京に入った。軍律を厳しくしていたため、盗撮される者もなく、撮害された者も皆無であった。そのため、京の人々は彦右衛門勢を大歓迎で迎えることとなった。

写真の塔は法観寺・八坂の塔。飛鳥時代創建。現在の建物は永享12年(1440)足利義政により再興されたもの。
京の町人
「どこの田舎侍が来たかと案じておったが、これは情け深き大将で助かりましたわ。」
「ほんにその通りやわ。好き勝手をしてはった三好・松永も退散したよし。」
「当分は枕を高うして寝られますよって。」
「この前も一人の軍兵が京娘を物陰から盗撮しようとしてはりましたが、彦右衛門様がすぐに見咎めて、お尻ペンペン百回の刑に処しておりましたわ。」
「ものの分かった大将でようござりましたなぁ。」
幸之助
「評判は上々なんダニ。しかし、あれ程キツく申し渡したのに盗撮しようとした軍兵がおったとは、恥ずかしい話なんダニ。」
章之進
「まったくじゃのう!」
義左衛門
「何がまったくじゃのう、じゃ!馬にきちんと乗ってみよ!」
章之進
「うわっち!いてててて!」
幸之助
「まさか、お尻ペンペンされたのは章之進ダニか!?まったくアホウなんダニ!」
章之進
「いやいや、そうではない。拙者がわざと盗撮しようとして罰を喰らうことで、京の人々に彦右衛門勢の軍律の厳しさを知らしめたのじゃ。彦右衛門様と拙者の作戦じゃぞ!」
俊丸
「それは素晴らしい、と言いたいところデブが、やったのが章之進殿では信用できないデブな。」
章之進
「う、うるへー!」
彦右衛門
「まあまあ、今回は作戦じゃ。章之進もさすがに卑劣な盗撮を致すような者ではない………多分。」
章之進
「なんでそこでトーンダウンするんですか!しませんよ、そんなこと!」
義左衛門
「今回は軍師の拙者も知りませんでしたぞ。見事な作戦にござる。敵を欺くにはまず味方から。兵法の妙を会得され、京の民の心を掌握された事、執着至極にござりまする。」
足利義昭
「上洛大儀であった。朝廷については菊亭春季(きくていはるすえ)殿に伝えてあるゆえ、そちらに参るように。また洛内の治安もようなっておる。足利幕府の再興もなったといえよう。幕府役職として美作守護を授けるゆえ、今後も忠勤に励まれよ。」
(ふん、これくらいの役職で釣っておけば、思い通りに動くであろう。今後も働いてもらわねばのう。)
彦右衛門
「はは、有り難き仕合せにござりまする。」
(ふん、名目だけの将軍が何を抜かすか。そんな役職なぞ絵に描いた餅じゃ。下克上の世では大した効き目はないわ!時代遅れの石頭め!天朝様に御挨拶をしたら、さっさと引き揚げるのが上策であろうな。)
義左衛門
「では、お勧めに従い、菊亭春季殿にお会い致す事としましょうぞ。」
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